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性売買のブラックホール

ころからの本

性売買のブラックホール韓国の現場から当事者女性とともに打ち破る

シンパク・ジニョン 著 金 富子 監修 小野沢 あかね 解説 仁藤 夢乃 解説 大畑 正姫 翻訳 萩原 恵美 翻訳

ジャンル:社会・歴史

A5変形、並製、256ページ

価格:¥ 2,200+税

ISBN 978-4-907239-62-6

性売買女性とともに状況変化を生みだそうと活動してきたシンパク・ジニョンの単著を完訳
シリーズ「いきする本だな」第二冊

 

「性売買が多すぎる」と言われる韓国において、性売買女性とともに状況変化を生みだそうと活動してきたシンパク・ジニョンの初めての単著を完訳。
日本の植民地支配に起源をもつ性売買の現状を伝え、ともに悩みながら女性たちの脱性売買を支援する立法や活動に携わってきた著者の言葉は、同じように性売買が多すぎる日本そして世界の性売買当事者とその支援者に届けられるべきものだ。
BLM運動を契機にスタートした「いきする本だな」の第二冊として堂々刊行!

日本語版に寄せて
序章 性売買が多すぎる
第1章 性売買という常識のブラックホール
 性売買のどこが問題なのか
 有名無実の違法化
 女はみんな娼婦?
 性売買を禁止したから性売買が増えた?
 性売買を禁止したから性犯罪が急増した?
 性売買の違法化のせいで10代女性の性売買が増える?
 男性障がい者の権利のために性売買は必要?
 「いつでもどこでも性売買を可能にせよ!」
【韓国の性売買SCENE01】性売買実態調査

第2章 韓国の性売買の誕生
 性売買大国
 韓国の性売買のルーツ
 国家が助長した米軍「慰安婦」
 買春観光とホステス映画の全盛期
 人身売買から海外市場まで
 このままではいけない―「性売買防止法」の制定
【韓国の性売買SCENE02】2000年群山、そして変化の始まり

第3章 市場へと向かった性売買
 カネになるマーケット
 性売買市場の「業者」たち
 利潤のネットワーク――斡旋カルテル
 遊興という産業
 遊興接客員とは何か
 接待共和国――根の深い腐敗
 買春者、市場の奴隷
 買春者は「ご主人様」になれるのか
 ホモソーシャルな社会――強者と弱者の遊び文化
【韓国の性売買SCENE 03】2011年夏、浦項

第4章 商品にされた女性たち
 なぜ性売買をするかって?
 商品になって限りなく待機せよ
 他人の欲望の徹底した道具になるということ
 性暴力と性売買の境界
 性売買女性たちが「楽に稼げるカネ」
 コントロールの構造――前払金
 借金、奴隷化、暴行
 暴力と殺害に無防備な「市場」
【韓国の性売買SCENE 04】2017年「エイズ性売買女」、その裏

第5章 世界の性売買
 どの国をモデルとすべきか?
 合法vs違法の論争
 合法化以降の現実――ドイツ
 世界中のセックスワーカーを尊重せよ?――オランダ
 「セックスワーカー」という幻想――米国・ネバダ州
 性売買の合法化がもたらした災い――再びドイツ
 誰のための「完全非犯罪化」か――アムネスティ・インターナショナル
 私たちは失敗した――現場の声[ニュージーランド、南アフリカ]
【ANOTHER SCENE】ドイツで出会った活動家たち

第6章 より良き道に立つ
 すべてが性売買になる
 性売買に食われた人々
 当事者になること――ムンチの結成と実践
 その判決が残したもの
 変化は成し遂げられた
 より良き道に立つ
【韓国の性売買SCENE05】2019年、「お姉さんの写真がインターネットに掲載されているわよ」

おわりに 私たちみなが性売買のなかにいる
用語辞典(50音順)
『性売買のブラックホール』関連年表

なぜ本書は日本で読まれる必要があるのか(小野沢あかね)
日本の性売買の現場から(仁藤夢乃)
監訳者あとがき(金富子)

シンパク・ジニョン プロフィール

1965年生まれ。韓国「性売買問題解決のための全国連帯」前代表(現政策チーム長)。1990年代から出身地・大邱(テグ)広域市での女性運動やフェミニズム理論による性教育の普及、また戸主制の廃止運動を行う。2002年から「性売買防止法」制定運動に携わり、同時に性売買からの脱却を望む女性の支援活動を展開。2006年女性学大学院を修了。本書は初の単著。

金 富子 プロフィール

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。おもな著書に『植民地期朝鮮の教育とジェンダー』(世織書房)など。

小野沢 あかね プロフィール

立教大学文学部史学科教授。おもな著書に『近代日本社会と公娼制度』(吉川弘文館)など。

仁藤 夢乃 プロフィール

一般社団法人Colabo代表理事。おもな著書に『難民高校生』(筑摩書房)など。

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