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公害スタディーズ

ころからの本

公害スタディーズ悶え、哀しみ、闘い、語りつぐ

安藤 聡彦 著 林 美帆 著 丹野 春香 著

ジャンル:社会・歴史

A5版、並製、224ページ

価格:¥ 1,800+税

ISBN 978-4-907239-54-1

日本の近現代に色濃く影をおとす13の事例から学ぶこととは? 「公害」を死語にしないための一冊。

 

エコ、SDGsが重視される現代において、「公害」という言葉が忘れられてはいないだろうか? そうした危機感から、日本の近現代史に色濃く影をおとし、現在も続く13の公害を事例に、いまの暮らしとの接点を提示する。公害被害者らがどのように闘い、そして語りついできたかを再発見するためのコンパクトな一冊。
環境教育学を専門とする安藤聡彦(埼玉大学教授)などが、全国の公害資料館や多数の公害・教育関係者のバックアップを得て、教育の現場はもちろん、若い世代に読まれることを想定し一般書として編集。

はじめに(安藤聡彦)
日本公害地図

第1部 出会う
第1章 生きることの危機 様々な公害.
呼吸する大気汚染(尾崎寛直)
〈公害からの問いかけ〉一住民の被害の訴えが巨大企業を動かす
食べる水俣病(高峰武)
〈公害からの問いかけ〉命の循環が断たれた事件
食べる 新潟水俣病(関礼子)
〈公害からの問いかけ〉語れない被害— 差別・偏見
食べる イタイイタイ病(向井嘉之)
〈公害からの問いかけ〉世界史に記録される日本の公害病認定第1号
食べる カネミ油症(宇田和子)
〈公害からの問いかけ〉被害者を被害者として扱うとはどういうことなのか?
住む 化学物質過敏症(中下裕子)
〈公害からの問いかけ〉見えない「公害」— 物言えぬ被害者達
住む 地盤沈下(徳竹真人)
〈公害からの問いかけ〉人口密集地の地盤沈下は「公害」ではない?
住む 軍事基地(林公則)
〈公害からの問いかけ〉軍事活動による国家安全保障は必要なのか?
住む・働く アスベスト(井部正之)
〈公害からの問いかけ〉アスベストから見える世界は今
働く 三井三池炭じん爆発(森久聡)
〈公害からの問いかけ〉労働災害と公害は連続している
危険と暮らす 福島原発事故(除本理史)
〈公害からの問いかけ〉「ふるさとの再生」とは何か
危険と暮らす 足尾鉱毒事件(髙橋若菜)
〈公害からの問いかけ〉田中正造の文明観に学ぶ
治す 薬害スモン(清水善仁)
〈公害からの問いかけ〉薬害の記憶を伝えるために
〈用語解説〉公害健康被害補償法(除本理史)
〈用語解説〉環境権(大久保規子)

第2章 語られた公害
患者の立場から 良子死んでくれるな(上野エイ子)
〈コラム〉水俣事件を「記録」しつづけて(桑原史成)
患者会の立場から 苦しみを分かち合い、共に闘う全国の公害被害者(森脇君雄)
医師の立場から 公害疾患イタイイタイ病は今もなお続く(青島恵子)
支援者の立場から 新潟水俣病の地域で生きて文化をつくる(旗野秀人)
行政の立場から 人に向き合う、歴史に向き合う、いのちに向き合う(潮谷義子)
企業の立場から イタイイタイ病の加害企業として 信頼を取り戻すために(渋江隆雄)
農業者の立場から 土呂久から 未来の子ども達へ(佐藤マリ子)
〈コラム〉レイチェル・カーソンの遺言(上遠恵子)
〈コラム〉原発事故と向き合うろう者(廣瀬彩奈)

第2部 向き合う
第3章 公害を探究する学び
公害をどう学んでいくか? 公害を自分のこととする〈深い学び〉(原子栄一郎)
公害の記録を読む 私が記録に問いかけると、記録も私に問いかける(平野泉)
[実践]記録を読む/立教大学共生社会研究センター
たくさんの「問い」を通して、記録を生み出す現場に迫ろう(平野泉)
視聴覚メディアを利用する 公害と〈私〉をつなぐ(古里貴士)
[実践]視聴覚メディア/大学での自主上映会
公害の〈深い学び〉が交響する映画会(原子栄一郎)
参加型学習を行う 人権の学びを創り、知識の意味を問い直す(高田研)
[実践]参加型学習/大学でのロールプレイ
西淀川公害の経験から考える市民力(岩松真紀)
[実践]参加型学習/高校におけるディベート授業
「東海第二原発再稼働の是非について 住民投票を実施すべきか否か?」(前嶋匠)
公害を調査する 「学ぶこと」と「望ましい社会をつくること」(三谷高史)
[実践]公害調査/アスベスト調査の市民学習会
暮らしの中の「公害」を認識する(丹野春香)
話を聴く 言葉にならない声を聴く想像力(池田理知子)
[実践]話を聴く/小学6年生の総合的学習「夢は奪われたのか」
胎児性水俣病患者の〈ことば〉を聴く授業(小玉敏也)
スタディツアーに参加する 参加、体験、交流から学び合う(西村仁志)
[実践]スタディツアー/高校生の水俣フィールドワーク
「公害」への旅だから学べること(小川輝光)
公害資料館への招待 多様な学びが出会う場(清水万由子)
[実践]公害資料館/大学における「四日市公害と環境未来館」の活用
この地で起きた公害を次世代へつなぐ(神長唯)
〈コラム〉チェルノブイリの経験を世界へ( アンナ・コロレヴスカ)
〈コラム〉アートが伝える公害(川尻剛士)

第4章 公害と生きる
被害者と加害者のキャッチボール(林美帆)
〈コラム〉被告企業からみた「西淀川公害訴訟」(山岸公夫)
佐伯と土呂久 公害の学びが導く地域づくり(岩佐礼子)
〈コラム〉「前提」になっていることに疑問をもつ(纐纈あや)
「忘却の文化」から「記憶・学びの文化」へ(後藤忍)
〈コラム〉“声なき声”を伝える民間伝承施設の挑戦(力丸祥子)
公害は「問い」である(友澤悠季)
〈コラム〉反原発の「市民科学者」高木仁三郎が目指したもの(菅波完)
共に生きることのできる社会を目指して(丹野春香)
〈コラム〉四日市公害マンガで関心の「イト」を紡ぐ(矢田恵梨子)
公害資料館を学びの入口に
公害資料館を育てよう 広げようネットワークの輪(林美帆)

公害資料館リスト
おすすめブックリスト&映像リスト
本書関連公害年表
用語解説
事項索引
人名索引
あとがき ─ 未来へ語りつぐ(北川直実)
著者紹介

安藤 聡彦 プロフィール

1959年生まれ 。埼玉大学教育学部教授 、同附属中学校校長。公益財団法人トトロのふるさと基金理事長。専門は環境教育学、社会教育学。共著書に『地域学習の創造─ 地域再生への学びを拓く』(東京大学出版会)、『地域づくりと社会教育的価値の創造』(東洋館出版社)など。3.11以後、水俣、下北半島、チェルノブイリを行き来し、様々な方に話をうかがいながら、どうすれば国内外の公害経験に深く根ざした環境教育の研究ができるのかを模索している。

林 美帆 プロフィール

1975年生まれ。公益財団法人水島地域環境再生財団研究員、公害資料館ネットワーク事務局。佛教大学非常勤講師。認証アーキビスト。奈良女子大学大学院博士後期課程修了。博士( 文学 )。専門は日 本近現代史、環境教育学。共編著書に『西淀川公害の40年─ 維持可能な環境都市をめざして』(ミネ ルヴァ書房)。2005年公益財団法人公害地域再生センター研究員に。公害資料館ネットワークの設立 に尽力。21年4月から現職、倉敷・水島地域の公害に関する資料館設立に向けて活動している。

丹野 春香 プロフィール

1987年生まれ。埼玉大学等非常勤講師、東京医科歯科大学特任研究員。東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程)単位修得満期退学。専門は環境教育学、社会教育学。主論文に「藤岡貞彦の〈地域と教育〉研究における「環境権」の視座 ─ 1970年代の「教育環境権」の議論をとおして」(『社 会教育学研究』54巻)。大学生の頃に経験した水俣病との出会いをきっかけに、公害に関わる人びとの思索と実践に学びながら、教育は公害とどのように向き合うのかを考えている。

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